最近、米国株投資が巷で流行っており、特に、近年のパフォーマンスが良い、「QQQ」というETFが日本人にも非常に人気を集めています。
また、「QQQ」にレバレッジをかけて、取引している、「TQQQ」というETFに興味を持っている方も増えてきました。
TQQQを一言でいうと、QQQの3倍レバレッジETFです。QQQの3倍の値動きをするというものになります。
そのため、直近5年で見ると、ピーク時には、約10倍株価が伸びています。
しかし、注意が必要です。中身を見ると、実はQQQとは全然違う構成で出来上がっているのです。しかも、厳密にはQQQの3倍では連動していないという事実があります。
また、TQQQについてネットで書かれている記事のほとんどが、「嘘の情報」もしくは、「真実に辿り着けていない」記事ばかりです。
英語だと優良な記事も多いですが、日本語の記事はあまり深掘りができていないのが現実です。
今回は、TQQQが投資対象として適切なのかを深掘りして、解説します。
では、早速解説を始めます。
【徹底解説】TQQQへの投資はアリ?ナシ?
TQQQとは?QQQとの関係性は?
【図 QQQとTQQQの長期比較(日経平均とS&P500も含む)】
TQQQを簡単に説明すると、NASDAQ100指数の3倍の値動きを目指すという内容のETFです。
つまり、NASDAQ100指数が「QQQ」であるため、QQQの3倍を目指したのが、TQQQとなります。
株価のチャートを見て頂くと分かるように、近年は圧倒的なパフォーマンスを出しています。
例えば、QQQが10%値上がりすれば、TQQQは約30%値上がりします。逆に、QQQが10%下落すれば、TQQQは約30%下落します。
ここで重要となるのは、TQQQがQQQの3倍の値動きをするのではなく、「約3倍」の値動きするということです。実際に、株価チャートを見て頂くと分かリますが、正確に3倍の値動きをしている訳ではありません。
なぜなら、QQQは現物のAppleやAmazonなどの株で構成されているのに対して、TQQQは現物の株ではなく、大手金融機関とスワップ契約している、NASDAQ100指数のインデックススワップが大半を占めているからです。詳しくは、後ほど解説します。
つまり、QQQとTQQQは中身が違うため、正確に3倍で値動きはしていないが、約3倍にはなるように調整されて、値動きしているというのが正確な理解です。
TQQQは怪しい?
TQQQに関しては、ネット上で検索しても、正しく紹介されている記事はほとんどありません。
TQQQの構成を見ると、非常に怪しい部分が明るみになります。以下の図が、TQQQの主要銘柄になります。
【図 TQQQの主要な構成】
上位を見て頂くと分かるように、「Nasdaq 100 Index Swap」と書かれています。
例えば、1位の場合、「Nasdaq 100 Index Swap Goldman Sachs International」と書かれています。これは、金融機関のゴールドマン・サックスの株を保有しているという意味ではなく、ゴールドマン・サックスと「スワップ契約」をしているという内容となります。
2位から6位も同様に、バンク・オブ・アメリカやJPモルガンなどの各金融機関とスワップ契約しているということです。
それが、上位の6位までを占めており、7位に初めて、現物のアップルの株式を保有しているということになります。
また、スワップ契約の中身は、ブラックボックスになっており、全貌は分からないようになっています。
簡単に説明すると、各金融機関が独自に株の売買を行って、運用会社のProSharesとのスワップ契約に基づいて双方で取引がなされ、最終的に、NASDAQ100指数の3倍の値動きを目指すようになっています。
この、「スワップ契約」が非常に怪しく、金融の指標を使って、さらに詳しく分析すると、さらに怪しさが増します。ただ、内容が難しく、分かりづらいため、今回は割愛します。これだけで、論文1本書けるレベルです。
結論としては、TQQQはQQQの3倍レバレッジだと多くのメディアで紹介されていますが、実態は、全然違います。QQQは現物の株式で構成されていますが、TQQQは各金融機関とのスワップ契約が主要な構成となっており、中身はブラックボックスになっています。
【図 QQQの主要構成(現物の株式で構成されています)】
優良な金融商品とは言えない
結論から言います。TQQQは優良な金融商品では無いです。
QQQは長期投資としても、優良な投資対象です。GAFAなどの米国IT企業を中心に投資をしたい方には、QQQは本当に最適な投資です。
一方で、TQQQはスワップ契約のこともあり、厳密には、NASDAQ100指数の3倍の値動きにはなっていません。
また、経費率が、QQQが0.2%に対して、TQQQは0.95%と約5倍の経費が毎年必要となります。
QQQはアメリカのハイテク企業100銘柄のみに投資しており、それだけでも他のETFと比べてリスクがあります。
長期投資で有名なVTIの場合、米国企業約3600社に投資しており、業界もバランス良く、分かれています。
そのため、QQQでもリスクがあるのに、それを約5倍の経費を払って、約3倍のリスクを取るのは、万人向けの長期投資では決してありません。
そのため、余程の理由がない限りは、投資には正直、向いていません。
それよりも、失敗のリスクが低い、VTIやSPYなどに長期投資するのがおすすめです。
TQQQへの具体的な投資プランについて
レバレッジ投資をしたい方にはあり
レバレッジをかけて投資をしたいという方には、TQQQは魅力的な投資であると思います。ただし、放置して長期投資する金融商品ではないです。
暴落する時は、QQQの約3倍下落するため、気が付けば、大事な資産のほとんどを失っているということが十分にあり得ます。
そのため、投資するのであれば、短期投資もしくは、中期投資がおすすめです。経済情報やチャートを日々、分析して、手際良く売買するのがおすすめです。
ただ、私が推奨している、積み立て型の長期投資のスタイルとはかけ離れているため、個人的にはおすすめではありません。
しかし、他のレバレッジETFや、レバレッジの投資信託の中では、まだ比較的良い投資対象であるため、レバレッジ好きの方には、おすすめです。
リスクを重視したい方には向いていない
TQQQの近年のパフォーマンスを見て、どうしてもリターンが気になり、投資したくなる気持ちは分かります。
ただ、今後も同じようなパフォーマンスが続く保証も無いですし、本当にリスクがある金融商品であるため、老後の資金や、子供のための資産運用の中心として考えるようなものでは決してありません。
もし、どうしても投資したいという方は、少額の投資から始めて、レバレッジ投資に慣れるところからスタートするのがおすすめです。
想像以上に、株価が乱高下するため、精神的に余裕のある状態でないと、安心して投資できるものではありません。
それよりも、毎月コツコツとVTI、SPY、QQQなどをレバレッジ無しで積み立てた方が、精神的にも安定した状態で投資が続けれると思います。
余程の理由が無い限りは、TQQQなどのレバレッジ投資は避けておきましょう!
日本の証券会社では購入できない
日本の主な証券会社では取扱いが無いため、QQQにように簡単には購入できません。近年までは、サクソバンク証券での購入が可能でしたが、現在では、購入できなくなっています。
CFDでの購入は可能ですが、手数料が高過ぎるため、投資初心者や長期投資者には全く向いていません。
日本在住の日本人が購入するとなると、IB(interactive brokers)証券、First Trade証券のどちらかで購入するしか方法はありません。
私は両方の証券口座を保有していますが、個人的には、IB証券の方が、使いやすくおすすめです。
TQQQは良い金融商品ではないが、他よりはまだマシ
今回はTQQQの投資について解説を行いました。
QQQとTQQQは見た目が似ていますが、中身は全然違うため、投資には注意が必要です。
基本的には、毎月積み立て型の長期投資をおすすめしており、レバレッジ有りの投資はおすすめしておりません。
ただ、TQQQが気になり、どうしても投資したいという方は、少額から投資を始めるのがおすすめです。
他のレバレッジETFと比べてまだマシな金融商品ではありますが、レバレッジ商品であることは忘れないようにしましょう!